野田藤

此の繁昌のあぢ川を、
甞めてながむ大坂府廰、
野田の藤波舟浮けて、
登る大川身の福島や、

「大阪名勝記 道楽山人編」明治34年 はしがきから

朝ドラ「ブギウギ」を見ています。
歌と踊りを交えたドラマをワクワクしながら楽しんでます。

スズ子の実家はな湯に時々、藤の花が登場しますが、舞台の福島区は野田藤で有名なところ。
昔から「芳野の櫻、野田の藤」とうたわれた。

ドラマのセットにさりげなく藤の花。
歌と踊りのダイナミックさと芸の細かさが妙味です。

福島にはかつて大日本紡績(のちのユニチカ)の大きな工場があって、繊維産業が盛んでした。
大学時代からの友人は福島区野田出身。
実家は衣料品を扱っていました。
ご両親のいない現在、実家も残っていない。

600年前から有名だった野田の藤は今も残り、近代日本を支えた繊維産業はすたれた。
「ブギウギ」のように、かつて日本人にあった熱い歌と踊りのエネルギーもすたれてしまわないことを祈るばかりです。

野田の藤のように、強く、逞しく、泥臭く、艶やかに、600年残れ!

NHK 「ブギウギ」から
「大阪名勝記」明治34年 国立国会図書館デジタルコレクションから