しろやぎさんから おてがみついた
くろやぎさんたら よまずにたべた
しかたがないので おてがみかいた
さっきのてがみの ごようじなぁにくろやぎさんから おてがみついた
やぎさんゆうびん 作詞 まどみちお 作曲 團伊玖磨
しろやぎさんたら よまずにたべた
しかたがないので おてがみかいた
さっきのてがみの ごようじなぁに
たぶん最近、「みんなのうた」か「おかあさんといっしょ」で聞いたのだと思いますが、すごい歌だと感じました。
まどみちおさんの作詞であることも知りませんでした。なるほどと思いました。以前、まど氏について書きましたが、非情とも思える冷めた目で見つめ、暖かいこころで詩を紡いでいる稀有な作家です。
やぎさんゆうびんが無限を感じさせることは広く言われています。
確かに無限ループでフレーズが頭の中をぐるぐる回ります。
さらに團氏の曲も単調さとアクセントの妙味で、まるで無限に伸びている竹を感じさせます。長くまっすぐな胴と節がずっと連続しているような・・・。
そして何がすごいか思ったのです。
これは人間の営みを表現している。
ここに登場するしろやぎさんは手紙をもらったしろやぎさんではない。
ここに登場するくろやぎさんは手紙をもらったくろやぎさんではない。
やぎさんは時間軸に沿って過去から未来へと続く世代の異なるやぎさんである。そしてやぎさんは人間であると。
たとえば手紙を送ることは次の世代を産み育てることと考えることもできます。しかし生まれたものはそんな意味を考えることなく、育っていく。(手紙を読まずに食べる)
成人して次の世代を産んだとき、ハタと気付く。さっきの手紙のご用事なぁに?と。
そして生まれたものはそんな意味を考えることなく、育っていく。
成人して次の世代を産む。そしてまた・・・。
何百万年も前から無限に繰り返される「やぎさんゆうびん」。
こんな短い歌の中に人間の壮大な営みが表されているなんて、まどみちおさんに感服です!