秋の朝

白きレエスを透す秋の光
木立と芝生との反射、
外も内も
浅葱の色に明るし。
立ちて窓を開けば
木犀の香冷やかに流れ入る。

椅子の上に少しさし俯向き、
己が手の静脈の
ほのかに青きを見詰めながら、
静かなり、今朝の心。

与謝野晶子

秋の空

ヨットハーバー

ホスピスにいるおばさんのこと

おばさんは今、ホスピスにいます。
年初に癌で余命3カ月を宣告されましたが、生命力の不思議によって現在を生き続けています。

少し前に面会に行きました。
食事はまったくできない状態ですが、顔の艶もよく弱々しい声ながら会話もできました。
その後、またコロナ患者数が増えたために、現在はまたまた面会禁止です。

先日、おじさんが「何か欲しいものはないか」と尋ねると、おそらく今までそんなことはなかったと思うのですが、おばさんは「指輪が欲しい」と言ったそうです。
おじさんは早速指輪を買いに行きました。
最初の指輪はダイヤモンドが小さいとおばさんは満足しなかった。
おばさんが納得するまで、おじさんは何と3回も指輪を買いに行ったのでした。

このエピソードを聞いたとき、とても感動しました。
おばさんとおじさん、夫婦二人の濃密な時間に感動したのです。
二人とも、生きてるって感じがしました。

おじさんは10年くらい前に、おばさんのような素晴らしい女性に出会えたことはとても幸せだ、これからも大事にしていくと親戚一同の集まりの場で語ったことがあります。どちらかというと、大人しく寡黙な人だったので、その真摯なことばにびっくりした覚えがあります。
その言葉通り、おばさんがホスピスに入ってからもおじさんは世話をよくしていました。
そして毎日の事柄を詳細に記録していました。
ただし、コロナ禍のために家族といえども面会時間は限られていました。

元気なころのおばさんはとても快活で、何事にも積極的に参加していました。
特に歌や踊りが好きな女性です。

面会に行ったとき、一日中ベッドに寝ているおばさんの表情から諦念のようなものが感じられました。
おじさんがどんなによく世話をして尽くしても、快活だったおばさんにとって最後の時をただ待ち続けるのは苦痛に違いないと感じました。

その半月後、おばさんに葉書を出しました。ただ星野富弘さんの言葉だけを書いて。

いのちが一番大切だと思っていたころ
生きるのが苦しかった
いのちより大切なものがあると知った日
生きているのが嬉しかった

この言葉がおばさんを変えたとか、そんなことはまったく分かりません。
が、とにかくおばさんの心の中で何かがはじけたような気がしました。
指輪の話を聞いて、楽しみながら生きるぞというおばさんの強い意志を感じたのです。ひょっとしたらと思ったのでした。

淀川キリスト教病院の名誉ホスピス長である柏木哲夫さんの著書「癒しのターミナルケア」に以下のようなことばが記されています。

我々のホスピスの平均在院日数は約一ヶ月である。一ヶ月という期間にこれまでの患者の人生が凝縮される。「人は生きてきたように死んでいく」と言われるゆえんである。

人は死に至るまで成長できる存在なのである

よく「患者さんのいうことをよくききましょう」といいますが、「きく」という字には二種類あります。「聞く」と「聴く」は違うと思うのです。「聞く」という字には「耳」しかありませんね。心が入っていなくてもいいのです。・・・一方、傾聴の「聴」という字は、みみへんに、つくりの下のほうに「心」が入ります。それは「心を耳にして」あるいは「耳を心にして、個人的な関心を持ってしっかりと耳を傾ける」という意味です。そこには心が入るのです。

「癒しのターミナルケア」柏木哲夫著

何事にも積極的で快活なおばさんには今まで生きてきたようにこれからも生きていって欲しい。
そして最後の時まで成長して欲しい。
そのために「心を耳にして、耳を心にして」おばさんの話に耳を傾けようと思います。

段々文字が読みづらくなったというので、耳ならまだ十分刺激を受けられるだろうと思い、昨日、サイコロキャラメル大のMP3プレイヤーを送りました。
金子みすゞさんの詩や「銀河鉄道の夜」、「ごんぎつね」の朗読、映画「サウンドオブミュージック」、その他歌謡曲をいっぱい詰め込んでいます。


老若デジタルデバイドの時代ですが、たまには(本来は)デジタル機器が高齢者の役に立って欲しいと願っています。

おかず釣り

昨夜もヨットハーバーへ参りました。連休に入り、釣り人も増えています。夕方イワシを30匹ほど確保し、太刀魚を4匹釣りました。徐々にサイズアップしています。手前で3本半。わりと大きな卵巣を持ってました。

エサも持たずに竿だけ持っていけば新鮮でおいしいおかずが得られる。ここに移って12年、魚屋で魚を買ったことがありません。淡輪、とてもいいところです。

今朝の雷

今朝4時くらいに目覚めると、外がピカピカ光っていました。そこでカメラを南の空に向けて撮影開始。何とか一枚その姿をとらえることができました。格子模様は網戸越しに撮影したからです。

これまで稲光の撮影に成功したのは、タイから関空へ向かう飛行機の中から撮影した一回だけでした。深夜、台北の手前辺りで、大陸側を見ると雷のオンパレード。それがこの一枚。幻想的な風景でした。

いて座に入った木星を眺めるイソヒヨドリ

今夜、久しぶりにイソヒヨちゃんが泊りに来ました。いつもと反対側で、手を伸ばせば届きそうな距離です。

今、木星と土星がいて座に入っています。イソヒヨちゃんはそれを眺めながら眠りにつくのでしょう。

明るい星が木星、その左に土星、うっすら見えるのがいて座

遠雷

昨夜、東の方向にピカピカ光る雲が長時間にわたって見えました。雷です。

岬町から見える方向と長岡京市から見える方向の交点が発生個所。かなり遠いところで発生している雷でしたので、音はまったく聞こえず。幻想的な光景でした。

Google Mapから

動画です↓ 空には月、その左下は火星です。

ちょっと拡大

ついでに昨夜の土星です。

追記

昨夜10時ごろの雷発生状況を調べると、熊野灘沖に大きな雷発生個所がありました。上記の予測地点よりさらに30キロ程度遠いところです。方向感覚はけっこういい加減だと思っていましたが、予想以上の精度でした。直線距離にして150キロ。これほど離れていても雷は見えるんですね。

Franklin Japan Corporationのデータから